Sparklehorseとミリオンダラーホテルやで!
そろそろ本格的に秋の兆し。CRUNCHのギター堀田が読書しながら音楽を聴いています。読んでいるのはカート・ヴォネガットみたい。
くらんちくん:お、ええの聴いとるな。
堀田:スパークルホース最近よく聴いてるよ。日本盤が出たセカンドとサードがあるけど、特に2001年のサードアルバム「It's wonderful life」。ダニエル・ジョンストンと同じような精神性を感じるね。
くらんちくん:そりゃ、ダニエル・ジョンストンのトリビュート・アルバムの企画にも関わっとるしな。レディオヘッドのツアーサポートして話題になっていた時期は日本盤出とるんやよな。
堀田:サイケ・ロックになった以降のビートルズっぽくもあるし。
くらんちくん:それもあるけど、わいはVelvet Underground直系、つうかルーリードっぽくて好きやな。
堀田:Yves Tumor(イヴ・トゥモア)っぽさも感じる。
くらんちくん:そりゃ90年代後期に活動していたミュージシャンはグランジの影響は受けとるやろ。イヴ・トゥモアとか最近のミュージシャンもグランジ・リバイバルみたいな感あるなー。
堀田:うん。スパークルホースを聴いてると、2000年代を起点にインディーロックの歴史を俯瞰できるね。
くらんちくん:いわゆるPitchfork史観やな。60年代のビートルズ、ヴェルベッツ、00年代のレディオヘッドを端緒にしたロック史観。その3つの重要な起点を結ぶミッシング・リンクがスパークルホースことマーク・リンガスや!
くらんちくん:しかしアルバムのタイトル「It's wonderful life」 素晴らしい人生とはよう言ったもんや。
同じことを、例えばやな。U2のボノが歌えば「ひどい世界だけど、それでも我々一人一人ががんばって素晴らしい世界、素晴らしい人生に変えていこう」みたいな、シニカルで、グローバルなメッセージになると思うんや。U2はとても政治的なバンドやし。
やけど、スパークルホースのマーク・リンガスだと、何の皮肉もなく、ただただ純粋に、「今、この瞬間が素晴らしい人生なんだ」と歌ってそうや。
実際にはそんなに素晴らしくはないかもしれへん。よそから見れば、むしろ苦痛に満ちた人生かもしれん。やけど、貧乏でも、誰にも注目されなくても、自分が楽しければそれでええねん。
堀田:くらんちくんにしては真面目だね。
くらんちくん:わいはいつだって真面目やで。ところで、このスパークルホースのアルバム聴いとると、わいは、U2のボノ原案の映画「ミリオンダラーホテル」のサントラを思い出すんや。様々な形で社会からはじき出された人々が生活するミリオンダラーホテル。そこで起きた殺人事件をきっかけにした愛の物語や。
堀田:へえ、U2のグローバルなパブリックイメージからはあまり想像できないね。とてもパーソナル、個人的な物語だね。
くらんちくん:そう。そこが意外や意外やねんけど、実は、U2の世界観はスパークルホースと地続きな気がするん♪
映画そのものも観たことあるんやけど、ホテルの住人で確かジョージ・ハリスンみたいな恰好でギター演奏してる人がおるんや。自分をビートルズの第5のメンバーだと信じとる。ポールが印税の分け前をくれない!と憤慨しとる。
ま、妄想やな。周りの人はそれを否定したり、馬鹿にしたりするわけでもなく「えっと・・・今忙しいから、また今度」とか言うてスルーしとるのがリアルやった。
堀田:くらんちくんも、自分はビートルズのメンバーだと固く信じてるもんね。
くらんちくん:せやなぁ.... て、あほか! つうかそもそも、わいはポールよりいい曲書くで。聴いてみ、わいの魂の新曲や!!!
(おもむろにギターを取り出して弾き始める)
堀田:えっと・・・今忙しいからまた今度ね!
(笑顔で立ち去る)